子の成長に応じ事故の要因構成は変化する
子どもは成長とともに行動範囲が広がります。新たな環境に触れるのは好奇心を刺激する良いきっかけになりますが、同時に新たな事故のリスクに晒されることでもあります。成長過程に応じてリスクを把握し抑えられるところは抑えていきましょう。
厚生労働省の資料によると0歳児の不慮の事故の死因のほとんどを窒息が占めています。喉につまりそうな小物は手の届かない箇所にしまったり離乳食はミキサーにかけたものを与えるといった工夫で0歳時は7割のリスクをカバーすることができます。しかし1~4歳になってくるとわずか3割しかカバーされません。成長に応じ親が気を配るべき領域が増えるのですね。
正常性バイアスの罠に気を付ける
子どもの成長に応じ気を配る領域をアップデートする、簡単に思えますが意外と難しいものです。その理由が正常性バイアスです。
正常性バイアスとは現状を変えたくない無意識的または意識的な思考のことで、たいていの人が有する一般的な性質です。
わかりづらいので事例を見てみましょう。
韓国の地下鉄火災(2003年)
放火犯により列車が火災したとき火を確認した乗客もいたが、車内放送で「しばらくお待ちください」というアナウンスに従い避難が遅れた結果、198人が犠牲となった。(ハンカチで手を抑えてた人がいた一方、じっと同じ姿勢をとり続けている人びともいた。
このように、人はある範囲までは異常があっても正常の範囲内として処理してしまいがちです。この背景には、日々の微細な変化にいちいち反応していたら疲れてしまうから、人の心はある程度鈍感にできているのだそうです。正常性バイアスで日々快適にすごせる分、変化への対応は遅れます。私にも経験があり、3.11地震の際、地下街で買い物をしていたのですが1回目の揺れでは様子見をし、2回目の揺れでようやく屋外へ避難しました。
話を戻すと、子どもの成長に合わせてリスク管理する領域を調整することは簡単に思えるが正常性バイアスにより実行は難しいということになります。子の変化、リスクの変化を行動に反映しづらいのですね。
防げた事故で命を失う子どもは不憫ですし両親は後悔で一生苦しむことになります。日頃からリスクの洗い出しと行動のアップデートを心がけましょう。
とはいえ子どもの自由を束縛するのはよくありません。特に幼少期は様々なことを沢山経験させてあげたいですね。
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親御さん達が余裕をもって子育てできますように。
らぼぺん