らぼぺんのゆとり育児

育児を楽にする工夫。生物学・家電マーケターの視点から。変わった育児研究ブログ。

後悔しない空気清浄機の選び方

 

後悔しない空気清浄機の選び方

 今回は育児家電としてのポジションを獲得しつつある空気清浄機の選び方を家電マーケッターの視点で書きます。

 

 お子さんのために空気清浄機を購入する方が沢山いらっしゃいます。内閣府が行っている消費動向調査の報告によると平成30年時点での2人以上世帯普及率は約4割と高く、中でも30~34歳への普及が顕著です。第一子の出産平均年齢が30.7歳ですので、まさに小さいお子さんがいる家庭で空気清浄機が買われているようです。

 

 

空気清浄機の普及率

空気清浄機の普及率

 

世帯主年齢別普及率

世帯主年齢別普及率

購入理由

購入理由

プロダクトライフサイクル上での業界の位置づけ

 後悔しない選択をするため、まずは企業の経営戦略で頻繁に用いられる考え方のひとつ"プロダクトライフサイクル"を見ていきます。企業が消費者へどのように商品を売込むのか目星を付けるためです。

 

 プロダクトライフサイクルとは、ある商品やサービスが市場に投入されてから、支持を得て、だんだんと売れなくなって消えてしまうまでのプロセスを示したものです。およそ4つのフェーズに分けたものがよく使われます。

プロダクトライフサイクル

プロダクトライフサイクル

 

 

 面白いことに、どのようにすればモノが売れるのか各フェーズごとに概ね決まっています。導入期・成長期では製品の基本的な機能の訴求が効き、成熟期・衰退期には価格の安さやおまけ機能やブランドストーリーの押し出しが効果的です。

 

空気清浄機の位置づけ

 空気清浄機の普及率は約4割で成熟期にあたります。今回は母数となる潜在顧客を日本の全世帯としてよいでしょう。

 

 成熟期には複数のメーカーが業界へ参入し価格競争が激化します。このとき企業はお客様に値ごろ感を打ち出す戦略をとります。方法は大きくふたつで①売価を下げるか、②グレードの低い商品を高いグレードっぽく見せるかです。私は特に②に注意を払います。

 

 

悪貨が良貨を駆逐する

 空気清浄機では、「適用床面積」が性能の指標として広く用いられています。これは一般社団法人日本電機工業会規格(JEM1467)では下記のように規定されています。

 

自然換気回数1(1回/時間)の条件において、粉じん濃度1.25mg/㎥の空気の汚れ(ニオイ、菌、花粉)を30分で、ビル衛生管理法に定める0.15mg/㎥まで清浄できるお部屋※の大きさを基準として定めています。
※天井の高さ2.4mで算出

 

 しかし残念なことに、規格があるにも関わらず、同じ適用床面積の空気清浄機でも性能に差があるケースが多々あります。下記のような抜け道があるからです。

 

  • 試験はメーカーで行ってもよいので試験環境や結果に手を加えることが容易
  • 適用床面積をうたう基準は日本電気工業会規格である必要がない

 

 こういった背景から、聞いたこともないメーカーの空気清浄機が次々と「安くてもxx畳まで対応」を掲げ通販サイトを足掛かりに市場へ流入しています。レビュー操作が効くので信頼されているように見せやすいのですね。その結果、平均単価が下がります。誠実に商売をしていた老舗メーカーは価格競争力の点で苦しくなりシェアを落としていきます。まさに悪貨が良貨を駆逐するのです。

 

空気清浄機 単価推移

空気清浄機 単価推移

どのように選べば良いのか

 これは購入者様の心の持ちよう次第と思われますが、「お子さんのために快適な空気環境を作りたい」というのであれば性能不足の商品を掴むリスクを減らすことに重きを置かれるのが良いでしょう。業界老舗メーカーの、適用床面積が使用する部屋の2倍以上の商品を選ばれることをおすすめします。

 

老舗と後発

 縁あって老舗の国内大手家電メーカー様とお仕事をご一緒させていただいたことがあります。自前の研究開発施設とチームを持っておられ、正確な性能検証はもちろんのこと実際の部屋を想定しモデルルームでの実施試験も行われていました。日本経済が好調でキャッシュを設備投資に充てる余裕があった時代を経てきたアドバンテージと思います。また長年のお客様からの声を持っていらっしゃるので実際の使用環境に則した製品づくりが出来るのです。

 

 後発のメーカーは老舗メーカーの商品を分解・解析し製品を開発する"リバースエンジニアリング"という手法で開発を進めるケースがほとんどです。しかし自前で用意できる材料や人材などの制約があるので製品を再構成する際に機能が抜け落ちてしまう場合があるのです。老舗から技術者を引き抜き欠落を防ごうとしますが、残念なことに現在、製品を1から10まで一貫して開発できる技術者は非常に稀です。特定の部品の開発を担当というのが主なのです。それゆえ後発メーカーが製品トータルの完成度で老舗を追い抜くのは、特に技術が成熟に近い白物家電業界では非常に難しいのです。ですから後発メーカーは同等性能でも低価格とうたい価格勝負を仕掛けるのです。

 

  長くなりました。最後に我が家6畳間の空気清浄機を載せます(適用床面積~25畳)。

Panasonic F-PXS55

Panasonic F-PXS55

 

おまけ

 私が家電を買う際参考にしているサイトです。時代とともに信頼度は変化することを念頭に覗いてみてください。

  • 価格.com(比較的信頼できるレビューが集まっている)
  • the360.life (同一条件下で製品比較検証されている)

 

関連記事です。

 加湿器がお子さんの風邪予防に役立ちます。

www.yutoriikuji.com

 

 泣き防止の効果もあります。

www.yutoriikuji.com

 

親御さん達が余裕をもって子育てできますように。


らぼぺん